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 253系の概要

 1991年3月のJR成田空港駅開業に伴い運行を開始した空港アクセス特急「成田エクスプレス」用に1990年から2002年にかけて111両が製造された。投入時期により仕様が異なり、1次車から5次車の5区分に分けられる。

 1次車

 1991年の成田エクスプレス運転開始に伴うもので、3両編成21本の計63両が投入された。製造は東急車輛製造と近畿車輛が担当した。外観は同時期に登場した651系に準じており、塗装の赤白黒はそれぞれ「太陽」「極地の氷」「宇宙」をイメージしている。塗装については後継車両のE259系にも受け継がれている。

 編成は2M1Tの3両で、成田空港寄り1両がグリーン車で、残り2両が普通車となっている。グリーン車には個室が設けられたほか、開放型(普通の座席配置)のグリーン席については1列&1列と2列&1列の二種類があり、前者を0番台、後者を100番台と分けている。普通車はフランス製のボックス式クロスシートが採用されたためリクライニング構造のないものとなっている。欧州の鉄道ではボックス式クロスシートは標準的だが、日本の鉄道では採用例があまりなかったため一部の日本人利用者には不評であった。

 このほか、大型荷物を置くスペースが車端部に設けられている。3両編成であることから喫煙車両を設けることができなかったため、デッキを喫煙スペースとした。

 2~4次車

 利用者の増加を受け、1992年から1996年にかけて6両編成化のため中間車が計36両増備された。基本的な設計は1次車に準じている。2~4次車の区分は製造年度の違いによるものである。

 6両化に際しては1次車のうちグリーン車が0番台の11本と100番台の1本の計12編成に対して行われた。これにより成田エクスプレスは最大12両での運転が開始された。

 5次車

 FIFAワールドカップ開催に伴い2002年に6両編成2本が増備された。番台は200番台となり、従来車に比べて大幅な変更がなされた。

 制御装置はVVVF制御で新製されたが、既存車両との兼ね合いから武蔵野線向けに転用される205系の制御装置と交換された。行先表示器は従来の幕式からLED式に変更されたほか、バリアフリー化がなされている。

 グリーン車は2列&1列で100番台と同一である。普通車については不評であったボックス式クロスシートから回転リクライニングシートに変更した。

 また5次車の登場に合わせて1~4次車に対してもリニューアルが行われた。グリーン車については、6両編成は1列&1列から2列&1列へ変更、3両編成は個室のみをグリーン車とし開放型グリーン席は普通席に交換された。これにともない形式が「クロ」から「クロハ」に変更されている。普通車についてはボックス式クロスシートから集団見合い式のシートに変更された。

 置き換え

 2009年から後継車両であるE259系が投入された。置き換えは3両編成から始まり、2009年10月のダイヤ改正により3両編成の運用が消滅した。撤退した3両編成については順次、長野総合車両センターへ配給輸送され譲渡車両を除き廃車・解体された。2010年6月にはE259系の投入完了に伴い、6両編成も運用を離脱した。引退から1か月後の2010年7月には、Ne-07編成を使用したさよなら列車が成田空港~大船間で運転された。6両編成も車歴の若い5次車を除いた全ての車両が長野総合車両センターへ回送された。配給輸送に際しては鎌倉車両センターの収容能力が低いことから他の車両センターへ疎開されることもあった。

 3両編成2本(Ne107,108)は長野電鉄への譲渡のため、長野総合車両センターから東急車輛製造へ甲種輸送された。また車歴の若い5次車は東武日光線直通特急「日光」「きぬがわ」へ転用改造のため、大宮総合車両センターと東急車輛製造へそれぞれ入場した。このほか、長野総合車両センターにはNe-01編成の先頭車両クロ253-1が解体されず留置されている。目的は不明だが、保管状態が悪いため、いずれ解体されるのではないかと思われる。

 写真


Ne-03編成は1次車と2次車から成る
左から1次車(Ne-06編成)と5次車(Ne-201編成)


開放型グリーン車室内の様子
1~4次車の普通車の様子(リニューアル後)


グリーン席
普通席(リニューアル後)


グリーン個室の様子
室内デッキ寄りに取り付けられた案内板


天井の荷物スペースは飛行機風であった
新旧成田エクスプレスが大船駅で並ぶ


253系引退に際し大船駅には手作りポスターが掲示された

最終更新日:2020年2月